メディアリテラシー

中3の社会では公民の授業が行われます。 公民とは、主に政治・経済を中心に現代社会のさまざまなことについて学習する科目です。 その中に「メディアリテラシー」という用語が出てきます。


メディアリテラシーとは

メディアリテラシーの定義は「世の中の無数にある情報メディアから必要な情報を引き出し、また、その真偽を見抜いて適切に活用する能力のこと」です。「情報を批判的に読み取る力」と定義されることもあります。 

言い換えれば 「情報を鵜呑みにしない」 だけでなく、「情報の真偽を見抜く」 力ということになります。

鵜呑みにしない、のはいいとしても、情報の真偽を見抜くのは難しいことです。 その情報の一次ソース(情報源)を確かめたり、裏取り(その情報を裏付けるものがあるか確認)をしたり、その情報に関する知識を自分が持っていたり、知識を持っている人の意見を聞いたり、など、本来は記者に求められる確認作業を自分で行えないといけないからです。

テレビや新聞で言ってることは本当?

私たちが一般にメディア(マスメディアまたはマスコミ)と聞けば、普通はテレビや新聞のことをイメージします。メディアリテラシーを持っているなら、テレビや新聞の情報に対して最も発揮する場面が多いことでしょう。 


あなたはテレビや新聞で得た情報をそのまま信じていますか?

「え?信じるのが普通じゃないの??」



一昔前までは

「マスメディアの情報は正しいものである」

そう私たちは信じてきたと思います。


しかし、インターネットの発達に伴い、ブログやSNSなどの個人による情報発信の手段が世に出てくるようになってから、マスメディアの嘘が暴かれるようになりはじめました。

昔はマスメディアの情報に対して、今ほど異論や反論を見聞きすることはありませんでしたから、多くの人がテレビや新聞の情報を「誰も否定しないから正しいのだろう」と信じ込んでしまうのは仕方なかったと思います。

異論や反論を持つ人は昔から大勢いましたが、それを世の中に発信する方法がほぼ皆無でした。結局、それらの意見は誰の目にも耳にも届かないので、『マスメディアの情報を否定する者はいない=マスメディアの情報は正しい』という図式が成り立っていたのです。 

現在は違います。 本当に詳しい人や当事者・関係者が、嘘であれば嘘であると発信することができるようになりました。異論や反論があれば、その根拠や資料とともに世の中に広める力を持ちました。インターネットの力を借りれば、誰でも情報発信者となることができる時代なのです。 

このことは、私たちが自分のメディアリテラシーを高めるうえで大きな助けとなっています。 なぜなら、インターネット上の情報と自分の知見や経験測、論理的考察などから、総合的にマスメディアの情報を吟味し真偽を判断できるだけでなく、同じ結論を持つ他者を見つけることで、自分の考えが孤立していないことを確認できるからです。

テレビや新聞で言ってることは本当か、と聞かれれば 「だいたいは本当だが嘘や誇張もある」 「印象操作やミスリードも多い」 (ミスリード=違う解釈に誘導すること) と私は答えます。

フェイクニュースとは

フェイクニュースという言葉をご存知でしょうか。 10月20日、27日に放送予定の、NHKの土曜ドラマ(北川景子主演)の題名にもなっていますので、聞いたことがある人は多いでしょうね。 

フェイク=嘘ですから、「嘘ニュース(虚偽報道)」ということなんですが、アメリカのトランプ大統領が、大統領選の中で攻撃的なメディア各社に対して繰り返し使ってから、フェイクニュースという言葉の認知度が上がりました。 

テレビ・新聞側からはインターネット上の情報に対して、インターネット側からはテレビ・新聞報道に対して、「フェイクニュースだ」と言い合っているように見えますが、個人的には情報の出どころに関係なく、嘘の報道はすべて「フェイクニュース」とみなしてよいと思います。

そのニュースの信ぴょう性を確かめる「ファクトチェック(事実確認)」をする必要がありますが、これはメディアリテラシーの話と関連してきますね。

SNS上であれば、「知り合いに聞いた話なんだけど~」程度の情報源では、信ぴょう性が相当低いです。

新聞・週刊誌などであれば、「関係者(筋)によると~」のような情報源の書き方は、やはり信ぴょう性が乏しいと言わざるをえません。

池上彰は嘘つきか?

難しいニュースを、わかりやすく丁寧に解説してくれることで人気のある池上彰さんですが、「池上彰 嘘つき」で検索すると個人ブログなどで池上批判を書いてあるものがいくつも出てきます。

果たして池上さんは嘘つきなのでしょうか?
それともそういった批判ブログのほうがフェイクニュースなのでしょうか?

私の個人的な意見だと、たとえ池上さんであろうとも、言っていることのすべてが正しいとは思いません。もっと言えば「嘘をつくこともあるだろう」と答えます。「間違えることもあるだろう」ではなく、「わざと間違ったことを言うこともあるだろう」という意味です。

池上さんをここで攻撃する気はありませんが、今回はメディアリテラシーのお話なので、テレビに出ている大御所キャスターの池上彰さんの話でも、そのまま鵜呑みにしてはいけないよ、ということで実例を挙げます。

下の画像は、あるテレビ番組で平均所得の格差を日本とアメリカで比べて解説していたときのものですが、おかしいところに気が付きますか? 


この2つのグラフは、縦軸と横軸の目盛が統一されていません。横軸は日本が2010年まででアメリカは2015年まで、縦軸は日本が0.1刻みであるのにアメリカは0.5刻みとなっています。これでは日本の方がグラフの振れ幅が大きくなりますよね。
もちろん、グラフ自体が間違っているわけではないので、厳密には印象操作の類ですね。 


もうひとつのキャプチャ画像は縦軸の目盛がめちゃくちゃです。補正予算が多額に見えるように目盛をいじっているわけですね。これも印象操作、ミスリードを行っています。

池上さんがこんなことしているなんて、信じられない!という方もいらっしゃると思いますが、実際にテレビ放送された内容ですし、インターネット上でも話題になったことがある話です。

彼のことを擁護するわけではありませんが、テレビ番組を観るうえで知っておいてほしいことがあります。

基本的にはどのテレビ番組にも予定された番組の進行があり、各出演者に台本があります。ときにはアドリブなどの台本通りでない発言が出ることもあるでしょうが、出演者は台本通りにトークを展開します。また、ときにはスタッフ側からカンペで番組進行についての指示が出ます。収録後、さらに編集も行われますし、生放送の番組であっても進行予定と台本の通りに番組が放送されます。

考えてみると、これは当たり前の話であって、出演者に自由にやらせてしまったら時間通りの放送にならないことも出てきますし、番組制作者側の意図しない流れになってしまっては困るからです。

テレビ番組にはプロデューサーやディレクターがいます。つまり、企画・制作・監督をする人たちがいて、彼らの意図した映像作品になるようになっています。根本的な話をすると、番組出演者たちは映画の役者さんたちが脚本通りに演じるように、テレビ番組内でも各出演者のイメージに沿うような発言やリアクションをしてもらうことを期待されて出演依頼をもらっているのです。

ですので、私たちがテレビを通して見聞きする彼らの言動は、彼らの素の言動とは思わない方が賢明です。番組プロデューサーやディレクターの指示通りに演じている役者さんなのです。

もちろん、出演者にフリーにしゃべらせる番組がまったくないわけではありませんし、ベテラン芸能人になると台本通りにしゃべらない人もいるようですが、それでもそれは番組制作側の許容範囲の中での話で、使えない部分は当然編集時にカットされます。

ということで、「出演者は番組制作者の意図通りに発言している」と考えてください。もしくは「番組製作者の意図通りの言動だけ放送されている」でもよいです。決してカメラの前で自由気ままに振る舞っているわけではないのです。それは池上彰さんと言えども同じであろうと推測されます。

別の番組ではこんなことを言ってますしね。



一部の例外を除いて、テレビ出演者はその番組の「役者さん」です。 池上さんに限らず、テレビ出演者の中には結果的に「嘘つき」になってしまっている人がたくさんいるのではないでしょうか。

その他のメディアのねつ造・誤報

池上彰さんを例にしてテレビ番組の話をしましたが、その他のメディアではどうでしょうか。

インターネット上でよく槍玉に挙げられるのは朝日新聞ですね。

大きな話題となったもので、比較的新しいのは「吉田証言」と「吉田調書」の誤報です。

名前が似てますが、「吉田証言」は慰安婦の強制連行の話で、「吉田調書」は福島の第一原発の吉田所長の発言に関する話です。どちらも朝日新聞は記事に誤りがあったことを認め、謝罪・訂正記事を出しています。朝日新聞に対して「誤報ではなくねつ造だ!」と厳しく批判する人もいます。意図的に嘘の報道をしたのではないかと疑っているわけですね。

朝日新聞に対して最大限好意的な言い方をすれば、朝日新聞は内省的な主張が強いというか、日本人はもっと反省や改善をするべきだという記事内容にしたがる傾向が見受けられます。それが勢い余って事実をゆがめる報道になってしまったのかもしれません。

かなり昔の話になりますが、朝日新聞は言い訳のきかない「ねつ造報道」をしたことがあります。

「朝日新聞珊瑚記事捏造事件」

これはWikipediaにも詳しい内容が掲載されていますので興味がある方はご覧になってください。

Wikipediaで読んでみる

簡単に説明すると 1989年沖縄県西表島で、朝日新聞記者のカメラマンが自作自演で珊瑚(さんご)に落書きし、その写真を元に記事を捏造(ねつぞう)しました。そのときの落書きは誰かのイニシャルを連想させる「K・Y」でしたので「KY事件」とも呼ばれています。



今から10年前にKYという言葉は「空気が読めない」という意味で流行しましたが、朝日新聞はこの流行期の2007年~2008年にかけて紙上で通算61回も「KY」という言葉を使ったそうです。一部の人からは「KYという言葉の意味の上書きを狙っている」と揶揄(やゆ)されていました。まさか天下の朝日新聞がそのような姑息なことを考えていたとは信じたくはないですが、それ以外にも誤報が目立つため、意図的に行っているのではないかと指摘されることも多いようです。

朝日新聞に対しては、著名な方々もその報道姿勢を批判しています。

「永遠の0」の原作者の百田尚樹さん。
大阪都構想を信念に、大阪府知事、大阪市長を務めた橋下徹さん。
ドラクエシリーズの作曲家であるすぎやまこういちさん。
その他大勢いらっしゃいます。
安倍総理も麻生副総理もそうですね。

朝日新聞の信頼が大きく損なわれたことが関係したのか、2014年に東大生の新卒採用がゼロだったことも話題になりましたね。

インターネット上の朝日批判はいまだ終わる気配がありません。

これは国民のメディアリテラシーの向上の賜物(たまもの)なのでしょうか。それとも、朝日新聞に対してヒステリックに抗議しているだけなのでしょうか。

朝日新聞に対する批判の中には根拠のないものや正当とは言えないものもあるかもしれません。

私たちは冷静に情報を判断していかなければなりません。

インターネットはどうなのか?

テレビや新聞の報道を一方的に受け取ることしかできなかった一般の人々は、インターネットの発達によって、自らの意見や主張を日本国内だけでなく全世界に発信することができるようになりました。

SNSで。ブログで。Youtubeで。某巨大掲示板で。

個人が自分自身の意見や主張を述べるのは全然構わないと思います。問題は、事実と異なる情報、すなわちフェイクニュースをばらまくことが個人でも可能になってしまったということです。

しかし個人が発するニュースは、元々信用の後ろ盾がありません。大手新聞社だとかテレビ局だとか有名人の肩書きだとかがなければ、一般人の発信なんて信ぴょう性が皆無ですので、世紀の大ニュースであっても信用されないだろうと思います。よって、個人の情報発信において読者や視聴者を納得させるには、情報源が確かなものであることや映像などの証拠、第三者の証言などが必要だと思います。それらがないならば鵜呑みにしないことが無難です。

twitterで
熊本地震が発生したとき、写真付きで
「おいふざけんな、地震のせいでうちの近くの動物園からライオン放たれたんだが 熊本」
というデマツイートがあったことを覚えていますか?


大地震のあとの混乱状態で、かつ、一見すると本物っぽい市街地にたたずむライオンの写真添付もあったためか、多くの人が信じてしまい熊本市動植物園には問い合わせの電話が100件以上もかかってくる騒ぎとなりました。

デマツイートをした男性は偽計業務妨害の疑いで逮捕となっています。


あのDeNAも
「WELQ(ウェルク)」という名のキュレーションサイト(情報まとめサイト)が炎上した話はご存知でしょうか?
WELQはDeNAが運営していたヘルスケア関連のサイトですが、他サイトのコピー文章や信頼性の低い記事だらけで大問題となりました。



特に医療分野において、間違った情報は読者に健康被害をもたらす可能性もあるため見過ごすわけにはいきません。この件が発端となって、DeNAが運営する他分野のキュレーションサイトも次々と掲載を中止しました。また、他社にもその影響は波及し、サイバーエージェントやYahoo!、リクルートなどそれぞれが運営する医療・健康関連のキュレーションサイトにおいても、質の低い記事やコピーの疑いがある記事を大量に削除することとなりました。

キュレーションサイトは情報量が多いほどGoogleなどの検索エンジンで上位に表示されるため、DeNAは多くのライターさんに安い原稿料で大量の記事を発注し、粗悪な情報だらけのサイトを作ってしまいました。これが個人のブログであればまだしも(もちろん個人ブログでもよくはありませんが)、DeNAという球団を持つような大会社が嘘情報やコピーコンテンツをネット上にばらまいたとなると大変深刻な問題となってしまいます。

まとめ

個人の発信であれ、大企業の発信であれ、情報を丸呑みにすることは大変危険であることを理解しておきましょう。特に生命に関わる重大な情報について真偽判断をするときは慎重になることが必要です。災害時にもデマに惑わされないよう、メディアリテラシーをしっかり身につけておくだけでなく、自分の頭できちんと考えるようにしましょう。

情報がおかしいことに気づいたり、情報の確かさを判断したりするためには、普段から幅広い知識を身に着けるよう心がけ、論理的思考力や洞察力(どうさつりょく:物事をよく観察し本質を見抜く力)を高めておきましょう。


<おことわり>
この記事は中学3年の公民の教科書に登場する「メディアリテラシー」という言葉について、実際にあった例を示して解説したものです。特定の個人や団体、企業などを誹謗中傷する目的で書かれたものではありません。また、メディアリテラシーの重要性を説く意図はあっても、特定の思想や主義・主張を広める意図はないことをご了承ください。

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