昔、問い合わせに来た保護者の方からこんな言葉をいただきました。
その方の話をいろいろ聞いていると、そのお子さんは小学校の勉強も早い段階からつまづいていて
「宿題はやらない」「家でも勉強を全然やらない」「親の言うことも聞かない」
だから何とかして欲しいということでした。
「私の言うことは聞かない」けど、先生の言葉で「勉強を好きになってほしい。」
「勉強を好きになれば、宿題もやるし、家でも勉強をするんじゃないか。」
私は正直絶句してしまいました。
私は正直に言いました。
「やる気スイッチなんていう都合のいいものはどこにもありませんよ。」と。
「そんな言葉をかけるだけで、勉強を好きになれるようなら、とっくにそうなっています。」と。
だってね、
それまでにもう何年間も勉強をやらない、できないで来ている生徒ってのは、
すっかり勉強に対して自信をなくしているわけだし、できるわけがない!っていう思いが染みついているわけで。
もしかしたらそれまでに何度となく自分の中で頑張ってみようかなと思いつつも、すっか
学校の授業についていけず、そんな時間をたっぷり過ごしてきている生徒がですよ。
言葉一つで簡単に「勉強が好き」になれば、誰も苦労しない。
私はちなみにマラソンが大嫌いでして。というか持久走と呼ばれるもの全般が嫌いでした。
当然小学校からマラソン大会なんていう行事があると気持ち的にうんざりして、
体育の授業もそれまでは楽しくて大好きなのに、一気に憂鬱になる。
当然マラソン大会でいい順位なんぞとれるわけがない。
そんな経験を子供の頃からくり返してきてますから、
マラソン=嫌いなもの、苦手なもの
というすり込みが自分の中ですっかりできあがっているわけです。
そんなときに逆に「やればできる!!自信を持って!!」なんて言われた日には、うれしいどころか腹が立つでしょ。
何も知らんくせに偉そうに言うな!と。www
勉強が苦手で長い時間を過ごしてきてしまった子にいくら誉めようが持ち上げようが、そんな安っぽい言葉では動きませんよ。子供は。そこまで馬鹿ではありません。
そもそもね、いわゆる勉強ができる生徒さんが全員「勉強が好き」なんでしょうか。
決してそんなことはない。むしろほとんどの生徒さんは勉強が嫌いだし、やらないでいいならやりたくないと思ってますよ。たぶん。
勉強してるよりも youtube見たり、SNSやってたり、ゲームしているほうが楽しいですもん。
だけど、彼らが勉強をする。何故か。
「するものだから。」「しなければならないものだから。」
「やれば良い点数をとれるのを知っているから。」
「他人よりも優越感を得られるから。」
ほとんどの人がこう答えています。
つまりは親が言って聞かせてきたかはいざ知らず、その子達は小さい頃からそういう価値観・環境の中で育ってきているし、そうやって躾られている。
そんな中で「良い点数」をとって、「どうやら自分は周りの人間よりも勉強ができるかも」と思い、「これなら活躍できるかも」と思い、そんな経験が自信となり、勉強が習慣付いていく。
おそらくそんなところじゃあないでしょうか。
勉強は「できるから楽しい」んです。
「できるようになったから、楽しくなる。」んです。
じゃあ、今回来られた生徒さんはどうだったんでしょうか。
「勉強をするものだと教わっていないし、躾られていない」
「だから勉強をしようと、習ったことを覚えようとしてこなかった」
「もちろんテストで良い点数をとれるわけがない」
「まわりに比べて自分は勉強ができないんだと自信を喪失してしまう。」
「もう勉強なんかできなくてもいいや。と開き直る」
こんな状態を何年もくり返している生徒にね。いくら素晴らしい言葉をかけてもね。やすっぽい言葉になっちゃいますよ。
本人がどうしてもできるようになりたい!このままじゃいけない!と切望していれば別ですけどね。
親が現状を見るに見かねて連れてきたわけです。なんとかしてほしいと。
でも、こんな状態になってからじゃ、ちょっとやそっとでなんとかなるわけない。
だからしっかりお話しさせて頂きました。今みたいなことを。
一度、やさぐれちゃった生徒を復活させるには、最初はそれこそ泣こうがわめこうがとにかく勉強をやらせる環境にしないとダメ。嫌いなものをやらせるんだから最初はそりゃ抵抗ありますよ。
でも、やらせなきゃダメ。
「とにかくそれをくり返し、くり返し、くり返し、できるようにしてあげる。」
「テストで少しでもいいからできたという経験をさせてあげる」
「その小さい成功体験を何度も繰り返す」
「こうやって少しずつ本人の自信が回復してくる。」
「私もやればできるかもと思えるようになる。」
あえて言うならこれが「やる気スイッチ」だと私は考えます。
うちにくる生徒達も大半はそうです。
「勉強をやらない」「できない」「めんどくさい」
でも、塾に入ったから「怒られるからやる。」「先生にグダグダ言われるからやる。」
「合格しないと帰れないからやる」
最初はそんなもんです。
でも、そのうちに中間テストや期末テストで良い点数がとれるようになると
少しずつ生徒は変わってきます。
「なんだよ、俺もやればできるじゃん!」って。
そんな成功体験の積み重ねをしていくうちに、すっかり勉強習慣が身に付いてくる。
そんなもんです。
【まとめ】
勉強はできるようになると楽しくなる!!
できるようになるまでは半ば強制でもやらせる環境に身をおかないとやりません!!
できたという小さい成功体験の積み重ねがいわゆる「やる気スイッチ」だと思います。
「やる気スイッチ」とは決して安っぽい言葉や安っぽい行動ではありません。
以上よろしくお願いします。
文責:依田