かっとび先生が教えてくれたこと

私が中学1年生になったときの理科の先生で「かっとび」と呼ばれている先生がいましてね。その先生の授業は「ひたすらノートを書く」でした。



授業の内容を(  )の穴埋め方式にしてひたすらノートに書いていくのですが、その量がハンパない。1回の授業でノート3ページくらいをびっしり書いていくんです。

特に解説をするわけでもなく、ひたすらノートを急いで書いていく。黒板がびっしり埋まったら、生徒の様子を見計らって良い頃合いになったらまたひたすらノートを書いていく。これを延々とやらされました。

そのスピードもやたら速いもんだから、こっちは内容の理解もクソもなく、ただただ書いていくのに必死でした。


その先生は一番最初の4月の授業の時に言いました。

「中学校の勉強は小学校と比べてその量も内容の難しさも違うから、まずはノートをしっかり書ける生徒になれ。」

「そうすれば今後の勉強にきっと役に立つから。」

「だからオレは目先の勉強の内容ではなく、これからの勉強の基本となるノートをとる訓練をする。」

と。


正直、何言ってんだ、と思いましたよ。


ろくに説明もしない、ひたすらかっ飛ばしてノートを書いていく。訳が分からんと!実際、その理科の時間だけは、眠くなる暇もなく毎回が修行のような時間でした。


でもね、今になって思うんですよね。その先生は僕らに必要なことを教えてくれてたんだなと。今の時代おんなじことやったら、きっと保護者からクレームの嵐になるでしょうよ。だって、説明とかしないんだもの。(もちろん多少はしますけどね。)


最初の授業で自己紹介もやらない、生徒とのコミュニケーションとかも積極的にとろうともしない。ただひたすらノートを書く。とにかくアホみたいな量を延々と書く。手が腱鞘炎になるんじゃないかと思うくらい書く。授業が終わる頃にはどっと疲れが出る。


でもその「修行」のおかげで、その後高校までの勉強の間で「ノートをとる」とか、そもそもの「書く」という行為で困るようなことは一切なかったなあと思うのです。

決して目先の内容ではなく、生徒の先を見据えて必要なことをする。そういう事もとても大切なんだよなと思いました。

でも、こっちはその授業の時だけ頑張ればいいだけだけど、その「かっとび」先生はどのクラスでも毎回それをやってるんだから1日でどれくらい書いてんだよ!!って思いましたけどね。自分が教える立場の人間になってみると大切な事を教わってたんだなと思いました。


以上、お疲れ様でした。
文責:依田
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